わが家のデジタルルール作り

デジタル時代のお金の使い方。思春期の子どもと決める課金・買い物ルール

Tags: デジタルルール, 思春期, 金銭教育, 課金, 家庭内ルール

思春期のお子様がスマートフォンやゲーム機を通してインターネットに触れる機会が増えるにつれて、親御様にとって新たな心配事の一つとなるのが、デジタル空間におけるお金の使い方ではないでしょうか。ゲームへの課金、オンラインショッピング、フリマアプリでの取引など、デジタルツールは便利であると同時に、金銭トラブルのリスクも潜んでいます。

特に思春期は、友達との関わりや流行に影響を受けやすく、衝動的な行動を取ってしまうこともあります。お子様がデジタル環境でのお金の使い方について十分な知識を持たないまま、予期せぬトラブルに巻き込まれてしまわないか、不安を感じている親御様もいらっしゃるかもしれません。

この記事では、思春期のお子様とデジタル時代のお金の使い方について、親子で建設的に話し合い、無理なく続けられるルールや考え方を育むためのステップをご紹介します。お子様との関係を損なわずに、お金に関するリテラシーを育むためのヒントとしてお役立てください。

なぜ思春期に「デジタルとお金」のルールが必要なのか

思春期は、お子様が徐々に親から自立し、自分自身の判断で行動する機会が増える時期です。友人との関係性が重視されるようになり、デジタル空間での交流も活発になります。

このような環境下で、以下のような状況が考えられます。

これらのリスクからお子様を守り、将来にわたって健全な金銭感覚を養うためには、早い段階から親子でお金とデジタル利用について話し合い、共通の理解とルールを持つことが重要になります。

ルール作りの前に親子で話し合うべきこと

いきなり「〇〇円までしか使っちゃダメ」といったルールから入ると、お子様は反発を感じやすいかもしれません。まずは、お金に対する基本的な考え方や、デジタル環境でのお金の流れについて、親子で認識を合わせることから始めましょう。

  1. お金の価値と使い方について話し合う:
    • 「お金はどのように得られるのか」「どんなものに使うのが良いのか」といった、お金の基本的な役割や価値について日常的に話し合います。
    • 家庭の収支の一部を共有するなど、お金が無限にあるわけではないことを伝えます。
  2. デジタル環境でのお金の流れを理解する:
    • ゲームの課金やオンラインショッピングが、実際のお金とどのように結びついているのか、アプリ内課金やクレジットカード決済、キャリア決済などの仕組みについて、お子様が理解できるよう説明します。
    • 「無料」と書かれていても、後から課金が発生するケースがあることなどを具体的に示します。
  3. 現状のデジタル利用とお金に関する状況を把握する:
    • お子様が普段利用しているアプリやサービスの中で、お金を使う可能性のあるもの(ゲーム、SNS、動画サイト、ショッピングサイトなど)を一緒に確認します。
    • 「もし課金したくなったらどうする?」「何か欲しいものがあったらどう調べる?」など、お子様の考えを聞いてみます。

この段階では、お子様を一方的に問い詰めたり、非難したりするのではなく、「一緒に考えてみよう」「お互いに知っておこう」という姿勢が大切です。お子様が正直に話せるような、安心できる雰囲気を作りましょう。

具体的なルール作りのステップとポイント

共通理解ができたら、いよいよ具体的なルール作りです。無理なく続けられるルールにするためには、親が決めるのではなく、お子様と一緒に話し合って決めることが重要です。

  1. なぜそのルールが必要なのか、理由を明確に伝える:
    • 「友達もやってるから」ではなく、「なぜ〇〇というルールが必要だと思う?」とお子様に問いかけます。
    • 課金のしすぎによるトラブルや、安易なオンラインショッピングのリスクなどを具体的に、お子様の理解度に合わせて説明します。一方的な禁止ではなく、危険性やリスク回避のためにルールが必要であることを伝えましょう。
  2. お子様の意見を聞き、尊重する:
    • お子様がどのようなことにお金を使いたいと考えているのか、どのようなルールなら守れそうか、お子様の意見を真剣に聞きます。
    • すべての意見を受け入れられなくても、「〇〇の気持ちは分かったよ」「△△については心配だから、一度こうしてみない?」など、お子様の気持ちに寄り添う姿勢を示しましょう。
  3. 現実的で具体的なルールを設定する:
    • 抽象的なルールではなく、「月に〇〇円まで」「購入前に必ず親に相談する」「決済方法は〇〇を使う」など、誰にでも分かる具体的な内容にします。
    • いきなり厳しいルールにせず、段階的に慣れていくようなルールも検討できます。
  4. 具体的なルール例:
    • 課金について:
      • 「ゲームへの課金は、お小遣いの範囲内(月〇〇円まで)とする。」
      • 「お小遣い以外で課金したい場合は、事前に親に相談し、許可を得る。」
      • 「親のクレジットカード情報や決済情報は、無断で使用しない。」
    • オンラインショッピングについて:
      • 「オンラインで何かを購入する際は、必ず親に相談してから手続きを行う。」
      • 「信頼できるサイトかどうか、親子で一緒に確認する。」
      • 「安易に個人情報(住所、電話番号など)を入力しない。」
    • 決済方法の管理:
      • 「親のスマートフォンやPC、ゲーム機に登録されている決済情報は、親が管理する。」
      • 「必要であれば、お子様用の決済方法(子ども向け電子マネーなど)を検討し、利用上限額を設定する。」
  5. ルール違反があった場合の対応を決めておく:
    • ルールを守れなかった場合にどうするかを、あらかじめ親子で話し合って決めておきます(例:「次の月のお小遣いから〇〇円分減らす」「〇〇のサービス利用を一時停止する」など)。
    • 違反があった場合でも、感情的に怒るのではなく、なぜルールを守れなかったのか、次にどうすれば良いのかを冷静に話し合う機会とします。
  6. 定期的な見直し:
    • お子様の成長やデジタル環境の変化に合わせて、ルールも見直しが必要です。「〇ヶ月に一度、ルールについて話し合う時間を持つ」など、定期的に確認する機会を設定しましょう。

自律的な金銭感覚を育むためのサポート

ルールはあくまでも「道しるべ」です。最終的には、お子様自身がデジタル環境でのお金の使い方について、賢く判断できるようになることが目標です。

まとめ

思春期のお子様とデジタル時代のお金についてルールを作ることは、容易ではないかもしれません。しかし、これは単にお金の管理だけでなく、お子様が社会と関わる上で必要なリテラシーを身につけ、親子のコミュニケーションを深める大切な機会となります。

一方的な押し付けではなく、お子様を尊重し、一緒に考え、対話を重ねることで、お子様自身が納得し、将来にわたって役立つお金に関する感覚を育むことができるはずです。この記事でご紹介したステップやヒントが、わが家にとって無理なく続けられるデジタルとお金のルール作りの一助となれば幸いです。