わが家のデジタルルール作り

将来につながる力を育む。思春期の子と考える、デジタルを「学びと創造」に活かすルール

お子様のデジタル利用について、「長時間使っているけれど、一体何をしているのだろう」「ゲームやSNSばかりで、学びにつながることはないのだろうか」といった漠然とした不安をお持ちではないでしょうか。思春期を迎えたお子様とのコミュニケーションは難しくなることもあり、デジタル利用に関して問い詰めることで、かえって反発を招いてしまうのではないかと心配されるお気持ちもよく分かります。

しかし、デジタルデバイスやインターネットは、単なる娯楽のツールにとどまりません。使い方によっては、お子様の探究心を刺激し、新しいスキルを身につけ、将来につながる「学び」や「創造」のための強力な味方となります。問題は、デジタルを使うこと自体ではなく、どのように使うか、そしてその使い方について親子でどのように向き合うかにあります。

この記事では、思春期のお子様がデジタルを「学びと創造」に活かせるように導くためのルール作りの考え方と、具体的なアプローチについてご紹介します。一方的な制限ではなく、お子様の成長を応援し、信頼関係を築きながら、デジタルを前向きに活用していくためのヒントを探りましょう。

なぜ思春期にデジタルと「学び・創造」の視点が重要なのか

思春期は、お子様が自己肯定感を育み、自分の興味や関心を探求し、将来について考え始める大切な時期です。この時期にデジタルを「学びや創造のツール」として活用することは、以下のような可能性を広げます。

• 探究心の深化: 興味を持ったことをすぐに深く調べたり、専門家のオンライン講座を受講したりと、学校の枠を超えた学びが可能になります。
• スキルの習得: プログラミング、動画編集、デザイン、音楽制作など、デジタルだからこそ身につけられる実践的なスキルは多岐にわたります。これらは将来の進路にもつながり得ます。
• 表現の場の獲得: 自分の考えや作品をブログ、動画、SNSなどを通じて発信し、他者と共有することで、自己表現の機会を得られます。
• 情報リテラシーの向上: 必要な情報を取捨選択し、信頼性を判断する力、知的財産権を理解する力など、デジタル社会で必須となるリテラシーが養われます。

デジタルを単なる消費（見る、読む、プレイする）だけでなく、生産・創造（作る、書く、発信する）の道具として捉え直すことで、お子様の可能性は大きく広がります。

「学びと創造」のためのルール作り、親子で考えるポイント

デジタルを学びや創造に活かすためのルール作りは、一般的な利用時間や利用場所のルールとは少し異なります。大切なのは、「何のために使うか」という目的に焦点を当てることです。

1. まずは「なぜ使うのか」を話し合う: 「〇〇君（お子様の名前）は、どんなことに興味があるの？」「将来、どんなことができるようになりたい？」といった問いかけから始め、「そのためにデジタルをどう活用できるかな？」と、お子様自身の言葉でデジタル利用の目的を語ってもらう機会を持ちましょう。親が一方的に「これを勉強しなさい」と押し付けるのではなく、お子様の興味関心を出発点にするのが重要です。

2. 時間だけでなく「内容」に焦点を当てる: 「デジタル＝悪いもの」という考えではなく、「どんな内容に、どれくらいの時間を使うか」という質的な視点を重視します。例えば、「ゲームは1時間まで」というルールだけでなく、「調べ物やオンライン学習アプリは時間を気にせず使っても良い」といったメリハリをつけることも検討できます。あるいは、「週末の午後は、自分で決めた創作活動（プログラミング、動画編集など）にデジタルを使ってみる時間にする」といったルールも考えられます。

3. 親も「一緒に学ぶ」姿勢を持つ: お子様が新しいツールやサービスに興味を持った時、「よく分からないから危ない」と否定するのではなく、「面白そうだね、どんなことができるの？」「お母さん（お父さん）にも教えてくれる？」といった Curiosity（好奇心）を示すことが大切です。一緒に使い方を調べたり、実際に触れてみたりすることで、お子様は「親は自分の興味を応援してくれている」と感じ、信頼関係が深まります。また、親自身も新しい知識を得られます。

4. 具体的な活動とルールを結びつける: 漠然としたルールではなく、具体的なデジタル活動と結びつけてルールを考えます。

   • 例：「YouTubeで勉強系の動画を見る時は、タイマーを使って集中する時間と休憩時間を決めよう」
   • 例：「オンライン講座でプログラミングを学ぶ時間は、リビングの共有PCを使おう」
   • 例：「自分で作った作品をネットに公開する時は、個人情報を含まないか、誰かを傷つける内容ではないか、一緒に確認しよう」 このように、お子様が具体的にイメージしやすい形でルールを定めることで、守るべきこと、気を付けるべきことが明確になります。

自律的な利用を促す声かけと関わり方

お子様が自ら考え、デジタルを前向きに活用していくためには、親のサポートと声かけが欠かせません。

• 成果を認め、挑戦を応援する: お子様がデジタルを使って何かを学び取ったり、作品を作り上げたりした際には、「すごいね！」「どうやって作ったの？」「頑張ったね」と具体的に褒め、その努力や成果を認めましょう。結果だけでなく、その過程での挑戦を応援する姿勢が、次のステップへの意欲につながります。
• 「問いかけ」で考える機会を与える: 「これについてどう思う？」「なぜそう考えたの？」「もしこうだったらどうなる？」といった問いかけを通じて、お子様が情報を鵜呑みにせず、批判的に考え、自分の意見を持つ練習を促します。
• 失敗を学びの機会と捉える: オンラインでのトラブルや、思ったように成果が出なかった時なども、責めるのではなく「ここから何を学べるかな？」と一緒に振り返り、次に活かす方法を考えましょう。失敗から立ち直る力、試行錯誤する力は、デジタル活用においても非常に重要です。

オンラインリスクも学びの一部として共有する

学びや創造のためにデジタルを活用する過程でも、オンラインリスクは存在します。誤情報に惑わされたり、著作権を侵害してしまったり、オンライン上の人間関係でトラブルに巻き込まれたりする可能性もあります。

これらのリスクについて、一方的に「危ないからやめなさい」と言うのではなく、なぜそのようなことが起きるのか、どのように回避・対処すれば良いのかを、お子様の知識レベルに合わせて具体的に共有することが大切です。これは「守るためのルール」であると同時に、「デジタル社会を生き抜くための知識」を親子で学ぶ機会でもあります。

まとめ：可能性を広げるための前向きなルール作り

思春期のお子様とのデジタルルール作りは、とかく「利用時間をいかに減らすか」「リスクからいかに遠ざけるか」というネガティブな側面に焦点が当たりがちです。しかし、デジタルが持つ「学びと創造」の可能性に目を向け、お子様の成長を応援するための前向きなルールとして捉え直すことで、親子関係を深めながら、お子様が将来必要な力を身につけるサポートができます。

一度完璧なルールを作ることは難しいですし、お子様の成長やデジタル技術の進化に合わせて見直しも必要になります。大切なのは、完璧を目指すことではなく、お子様との対話を続け、信頼関係を築きながら、変化に柔軟に対応していく姿勢です。

この記事が、わが家にとって心地よく、お子様の可能性を広げるデジタルルールのヒントとなれば幸いです。