わが家のデジタルルール作り

デジタル利用で会話が減った?思春期の子と「話せる家族」を続けるデジタルルール

Tags: デジタルルール, 家族コミュニケーション, 思春期, 親子関係, 話し合い

デジタル利用と家族のコミュニケーション、見えない壁を感じていませんか?

スマートフォンやタブレットが身近になるにつれて、お子様が画面を見ている時間が増え、以前よりも家族の会話が減ったと感じることはありませんか。思春期のお子様であれば、自分の部屋にこもってデジタル機器を使っていることも多く、親としては「このままでいいのだろうか」「どうやって関わればいいのだろうか」と、漠然とした不安を抱えることもあるかもしれません。

お子様のデジタル利用自体を否定したいわけではない。しかし、大切な家族との時間が、デジタル機器の画面に奪われているように感じてしまう。そんなお悩みをお持ちの親御様もいらっしゃるのではないでしょうか。

この記事では、デジタル利用が家族間のコミュニケーションに与える影響について考え、思春期のお子様との関係性を大切にしながら、家族の会話や「話せる家族」の関係を保つためのデジタルルール作りのヒントをご紹介します。一方的な禁止ではなく、お子様自身が納得し、家族全員が心地よくデジタルと付き合っていくための第一歩を踏み出しましょう。

なぜ、デジタル利用で家族の会話は減ってしまうのでしょうか

お子様のデジタル利用が増えることで、家族の会話が減ってしまう要因はいくつか考えられます。

まず、物理的な距離が生まれることです。リビングに集まっていても、それぞれがスマホを見ている時間が増えれば、自然と視線は画面に向かい、会話のきっかけは減少します。また、お子様が自分の部屋でデジタル機器を使う時間が増えると、物理的にも家族と顔を合わせる機会が減り、日常生活の中でのちょっとしたやり取りや情報共有の機会が失われます。

次に、オンラインの世界への没頭です。ゲームやSNSなど、デジタルの中には魅力的な世界があり、お子様はそこに没頭することで強い満足感や刺激を得ます。リアルな家族との会話や関わりよりも、オンライン上の友人とのやり取りやゲームの中での活動を優先してしまうことがあります。これは、思春期という友達との関係性が重要になる時期には特に顕著に現れる傾向かもしれません。

さらに、会話の「質」の変化も考えられます。デジタルで多くの情報やエンタメに触れているお子様にとって、親との会話が「つまらない」「一方的だ」と感じられる可能性もあります。また、親御様自身がデジタル利用に不安やネガティブな感情を持っている場合、会話が注意や小言になりやすく、お子様が会話を避けるようになる悪循環が生まれることもあります。

「話せる家族」を続けるためのデジタルルール作りの視点

会話が減ったと感じる現状を変え、「話せる家族」を続けていくためには、デジタル利用そのものを禁止するのではなく、家族のコミュニケーションを大切にするためのルール作りが必要です。ここでは、そのための視点をご紹介します。

時間だけでなく「いつ」「どこで」を具体的に考える

単に「1日○時間まで」という時間制限だけでなく、「食事中はスマホを使わない」「寝室には持ち込まない」「家族が集まるリビングでは特定の時間以外は使わない」など、「いつ」「どこで」デジタルを使わない時間を設けるかを具体的に話し合うことが有効です。これにより、家族が顔を合わせ、自然な会話が生まれる物理的な環境を作ることができます。

話しかけられた時の対応を明確にする

デジタルに集中している最中に話しかけられても、お子様が無視してしまったり、不機嫌な態度をとったりすることがあります。これは親御様にとって非常に寂しく、傷つく経験となり得ます。ルールとして、「話しかけられたら、一度画面から目を離して相手の顔を見る」「すぐに反応できない場合は、『ちょっと待ってね』と伝える」など、最低限のコミュニケーションのルールを決めることも大切です。

デジタル以外の「楽しい家族時間」を意図的に作る

デジタルから離れる時間をルールで設けるだけでなく、その時間を家族で一緒に楽しめる活動に使うことも重要です。一緒に映画を見る、ボードゲームをする、散歩に出かける、一緒に料理をするなど、デジタルを使わない共通の楽しい体験は、自然な会話を促し、家族の絆を深めます。

親自身もデジタルとの付き合い方を見直す

お子様にだけルールを課すのではなく、親御様自身もデジタル利用の習慣を見直すことが、お子様にとって最も説得力のあるメッセージになります。お子様の前で過度にスマホを操作しない、食事中に自分のスマホも見ないなど、親が率先して家族との時間を大切にする姿勢を示すことが、「話せる家族」を維持するための重要な要素となります。

具体的なルール作りのステップと話し合いのコツ

「話せる家族」を続けるためのデジタルルールを作るための具体的なステップと、思春期のお子様との話し合いのコツをご紹介します。

ステップ1:現状の共有と目的の確認

まずは、親御様がお子様のデジタル利用について感じている不安や、会話が減ったと感じている状況を落ち着いて伝えます。ただし、責める口調ではなく、「最近、家族でゆっくり話す時間が減ったように感じるけれど、どう思う?」など、問いかけの形で始めてみましょう。

そして、「デジタルを敵にしたいのではなく、家族みんなが気持ちよく過ごせるように、そしてあなたの成長も応援したいから、少し話し合ってみたいんだ」と、ルール作りの目的が、お子様を縛ることではなく、家族のため、そしてお子様自身のためであることを伝えます。

ステップ2:お子様の意見や考えを聞く

お子様がデジタルをどのように利用しているのか、なぜそのアプリやゲームが好きなのか、デジタルでの友達関係についてなど、お子様の側からの話を聞く時間に重点を置きましょう。一方的に親の意見を押し付けるのではなく、「あなたはデジタルをどんな風に使っているの?」「どんなところが楽しい?」など、お子様の視点を理解しようとする姿勢を見せることが大切です。お子様の話に耳を傾けることで、信頼関係が深まり、その後の話し合いがスムーズに進みやすくなります。

ステップ3:家族で具体的なルール案を出す

現状や互いの考えを共有した上で、「家族でこんなルールがあったらどうかな?」と、具体的なルール案をいくつか提案します。この時、親御様が一方的に決めるのではなく、「食事中はみんなスマホを置くのはどう?」「夜〇時以降はリビングでは使わないようにする?」など、選択肢を出し、お子様の意見も聞きながら調整していきます。

「話しかけられたら、一度立ち止まって相手を見る」など、コミュニケーションに関するルールも提案してみましょう。可能であれば、お子様からもルール案を出してもらうと、より「自分たちで決めたルール」という意識が芽生えます。

ステップ4:ルールを決定し、見える化する

話し合った結果、家族で合意できたルールを具体的に決めます。曖昧な表現は避け、「毎日午後7時から午後8時まではリビングで家族団らんの時間とし、この時間は全員デジタル機器の使用を控える」のように、誰が見てもわかる明確な言葉で定めましょう。

決めたルールは、リビングの目につく場所に紙に書いて貼る、家族で共有できるアプリやカレンダーに登録するなどして、「見える化」することが効果的です。これにより、家族全員がいつでもルールを確認でき、意識しやすくなります。

ステップ5:定期的に見直し、柔軟に対応する

一度決めたルールも、お子様の成長や家族の状況の変化に合わせて見直すことが必要です。「このルール、最近どう?」「もう少し変えてみた方がいいかな?」など、定期的に家族で話し合う機会を持ちましょう。ルールはあくまで家族がより良く過ごすためのツールであり、完璧を目指す必要はありません。守れなかった時も、頭ごなしに叱るのではなく、なぜ守れなかったのかを一緒に考え、次にどうすれば良いかを話し合う柔軟な姿勢が大切です。

我が家の「話せる時間」を大切にするために

デジタルは私たちの生活を豊かにしてくれる便利なツールですが、使い方によっては大切な家族のコミュニケーションを疎かにしてしまう可能性も秘めています。思春期のお子様との関係は、親として悩むことも多い時期ですが、デジタル利用について話し合うことは、お互いを理解し、信頼関係を深めるための貴重な機会でもあります。

完璧なルールを作ることは難しいかもしれません。しかし、「話せる家族」であり続けるために、まずは家族でデジタルとの付き合い方について話し合う時間を持つことから始めてみてはいかがでしょうか。お子様の声に耳を傾け、家族みんなが納得できる形で決めたルールは、きっと我が家らしい心地よいデジタルとの共存をサポートしてくれるはずです。